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2017年8月

2017年8月13日 (日)

サマースクールのセッションで考えたこと

先週木曜日の朝起きようとしたら両脚の太ももに少し張りがあることに気づきました。前日、以前勤務していた肢体不自由の特別支援学校のサマースクールでミュージック・ケアのセッションを行ったことが原因でしたが、その脚の張りがとても心地よい一日でした。

今年の会場は学校で、木造の教室や廊下から木の香りがして懐かしさがこみあげてきました。子どもたちと家族(今日はみんなお母さん)、担任の先生、看護学校の学生ボランティア、他校から研修で参加の先生方とに大勢でにぎやかでした。このサマースクールは年に1度でしかも年によってグループが異なりますが10年以上続いているので私のセッションの文脈を覚えていてくださっていてすぐに一体感のある空間ができ上がります。これはすごいことだと思っています。動と静、発散とコントロール、インスタントサクセスの積み重ね、子どもとお母さんのコンタクトや交流、笑顔も言葉もすばらしいものでした。初めての学生ボランティアや先生方もすぐ理解していただきました。1時間20分があっという間に過ぎてしまいました。セッションが終わっても会場のあちこちで楽しそうな声がして、帰り際に初めてお会いした若いお母さんが「すごく楽しい時間でした」と声をかけてくださいました。子どもの笑顔はお母さんの笑顔につながり、お母さんの笑顔は子どもの笑顔にストレートにつながります。いっしょに楽しい時間を過ごすことの意味はとても大きいのです。

セッションの最中、リードする者としてその場の全て、集う子どもたちやお母さん、学生ボランティア、担任の先生、研修参加の先生、みんなみんなの参加の姿とその空間の物語、そして、プログラムの組み立てと曲選び、動作を通した音楽の伝え方や聴き方、等々について、把握して分析し、次のアクションとしているのだということ、そのこと自体をクールに見つめるひとりの自分がいた、今回はそんな感覚がはっきりとありました。ポコ・ア・ポコが思うように開催できなくなって半年を過ぎて久しぶりのセッションだったということもあると思います。一つ一つの要素を確かめながら準備し、セッション中も五感を総動員していました。そして、鯨岡峻先生の関係発達の著書を読んでいる最中だったことも深く関わっていました。重症心身障害児といわれる子どもたちの教育やミュージック・ケアのセッションの意味を関係発達の考え方から説明し、支えてきたことを自らの実践で表し示しているのだという少々不遜なことも考えていたようです。同時にそれはその日の私の役割でもありました。

もうひとつ、夏休みだったことも私の感じ方を変えているのかもしれないと思いました。夏休み前半は出張が続いて新幹線などの公共交通機関をよく利用します。夏休みなので子どもの姿をよく見かけます。学校ではない場、空間、文脈での子どもたちです。そして、お母さんやお父さん等々、家族単位で子どもを見る機会がたくさんあって、なぜか、そんな子どもたちの姿がすごく愛おしく思えるのです。一昨日のセッションでの子どもたちとお母さん方との温かい穏やかな関係性もそうでした。子どもたちもお母さん方も満面のすてきな笑顔でいっしょに過ごすことに関わることができてほんとに嬉しく思いました。みんなの幸せを心から願いながらセッションを終えました。

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2017年8月 5日 (土)

本2冊

今日明日と研修で京都に来ています。病気の子どものストレスがテーマです。一昨日と昨日は病弱教育の研究会で大分に行っていました。この4日間の移動距離は2,000km近くにもなって移動中は貴重な読書時間となりました。おかげでスティーブン・シルバーマン著「自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実」(正高信男・入口真夕子訳 講談社ブルーバックス 2017)を読了しました。600ページ超のカタカナ名がたくさん登場して翻訳然とした文体なので速読みというわけにはいかず、先々週末までに半分近くまで読んだところで中断していました。ペーパー版は厚さが3cmほどもあるのでスマホでも読める電子書籍も購入して読みました。都合2冊購入したわけで、この本はそれほど私を虜にしました。

シルバーマン著「自閉症の世界」を読み進めるなかで、どうして今までこのような本がなかったのか、あるいは私が知らなかっただけなのか、訝しくかつ不思議でした。自閉症にかかわる誰もが知っていておかしくない自閉症にまつわるヒストリーです。知っているべきことといえるでしょう。今あるものには必ず訳がある、経緯があると常々自分に言い聞かせてきたはずなのに、また、DSMⅣからDSM5へのバージョンアップに際して診断基準が大きく変わったことを承知しているはずなのに、どうして自分で自閉症のヒストリーを吟味することをしようとしなかったのかと反省すること頻りです。内容はあまりに多いのでここで触れることはしませんが、幸いこの本は順調に販売冊数を伸ばしているようで嬉しく思っています。自閉症、ASDを巡る環境だけでなく、社会全体の在り様も少しずつよくなってほしいと願っています。

鯨岡峻著「ひとがひとをわかるということ 間主観性と相互主体性」(ミネルヴァ書房 2006)も鞄に入れました。私の本は2010年の第4刷で、決して読みやすくはない心理学の専門書が毎年増刷されてきたことに驚きます。大学で教科書として使われているのでしょうか。私が初めて鯨岡先生の関係発達の考え方に触れたのは2003年の千葉淑徳大学の発達臨床研修セミナーでの講演「子どもの関係性の発達」でした。当時私は肢体不自由の養護学校(当時)で医療的ケアの重度重複障害の子どもたちといっしょに過ごしていて、その中で自分が感じていたことに照らし合わせて腑に落ちる言葉たちでした。重症心身障害の子どもの教育の依りどころとなる考え方と言葉を示していただいたと思いました。教育とマネジメントを支えてくれました。そして、今、あらためて依りどころにしたいと思っています

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