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novel

京都に出張でした。病弱教育の会議です。京都は真夏を思わせる日差しと暑さで、夏のスーツでも汗が出てきました。この暑さも私にはなつかしい。市バスのアナウンスの「次は西洞院六条です」という声を聞いたらもう学生の頃にタイムスリップしてしまいました。「にしのとういん」というやさしい響きでぐらっときて、「六条」からは『源氏物語』の六条御息所の生霊の話を思い出しました。大学の講義で聴いた『源氏物語』の音読はただただ優しく雅やかでした。古い木造の洋式建築の教室に空気のように流れた玉上琢彌先生の音読は今も思い出します。

セバスチャン・フィツェックの『治療島』を読み終えました。ここ何年か、小説を小説として堪能する読み方を忘れていて、ほんとに久しぶりに文字通りのnovelでした。novelとは斬新ということ。知らない世界に続く扉を開けることです。そもそも「サイコスリラー」とよばれる読み物は初めてだったのでその感は新鮮だったこともありますが、しばらく小説の読み方を忘れていたという思いがあります。小説を読むにはエネルギーを必要とします。小説は全身全霊で読むものです。だからこそnovelには斬新という意味が付されている。読む者の心身を非日常に浸らせるもの、それが小説だと思います。

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